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鹿児島市の銭湯は、本当にほとんど温泉なのか — 38軒の泉質を数えてみた

公開: 2026年9月17日 / 書いた人: まえちん(かごいと運営者)

鹿児島市の「温泉三昧」のページには、「銭湯と呼ばれる公衆浴場のほとんどが温泉」と書かれています。鹿児島に住んでいると当たり前のように聞く話ですが、「ほとんど」とは実際に何軒中何軒なのか。鹿児島県の公衆浴場の組合が公開している一覧で、市内の銭湯38軒の泉質を一つずつ数えてみました。泉質名の読み方、町ごとの泉質の並び方、そして県が決めている入浴料金の上限についてもまとめています。数字は公的機関と組合の公開情報にあたって確認し、末尾に出典を載せました。

38軒のうち、35軒に天然の泉質名があった

数えたのは、鹿児島県公衆浴場業生活衛生同業組合のサイトに「鹿児島市支部」として載っている銭湯です。2026年9月17日時点で38軒が掲載されていて、1軒ごとに泉質が書かれています。

結果は次のとおりでした。

天然の泉質名が書かれている……35軒

「人工温泉」と書かれている……1軒

泉質の記載がない……2軒

38軒中35軒ですから、「ほとんどが温泉」という市の説明は、数えてみてもそのとおりでした。なお、泉質の記載がない2軒が温泉ではないという意味ではありません。一覧に書かれていない、ということです。また、この35軒のうち一本桜温泉センターは、一覧で「建替え工事のため休業中」とされています。

市の「温泉三昧」のページによれば、鹿児島市内の源泉は約270か所あります。

泉質で分けると

35軒を泉質で分けると、次のようになりました。

泉質軒数所在地(町名)
塩化物泉19下荒田(3軒)、唐湊(2軒)、田上(2軒)、易居町、城山町、西千石町、東佐多町、小野、薬師、上荒田町、真砂町、紫原、南郡元町、中山町、谷山中央
単純温泉9伊敷(2軒)、伊敷町、谷山中央、西佐多町、原良、坂之上、川田町、有屋田町
炭酸水素塩泉7上竜尾町、坂元町、吉野、若葉町、永吉、明和、田上

一覧では、「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」のように複数の成分が並んだ泉質名もあります。こうした名前は、次の節で説明する決まりに従って、最初に書かれている成分で分類しました。また、一覧で「単純泉」と書かれている2軒と「アルカリ性単純温泉」の1軒は、単純温泉に含めています。

泉質名は、どう読めばいいのか

泉質名の付け方は、環境省の鉱泉分析法指針で決められています。この記事に出てくる3つの泉質は、指針ではこう定義されています。

塩化物泉……溶けている成分(ガス性のものを除く)が温泉水1kgあたり1,000mg以上で、陰イオンの主成分が塩化物イオンのもの。

炭酸水素塩泉……同じく1,000mg以上で、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの。

単純温泉……溶けている成分が1,000mgに満たず、泉温が25℃以上のもの。現地でのpHが8.5以上ならアルカリ性単純温泉と呼びます。

つまり「単純温泉」の「単純」は、溶けている成分の量が一定の基準に満たないという意味です。塩化物泉や炭酸水素塩泉は、成分の量が基準以上あり、そのうち一番多い陰イオンの名前が付いています。

「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」のような長い名前にも決まりがあります。指針では、成分の割合が一定以上のものを多い順に並べるとされています。「-」の前が陽イオン、後ろが陰イオンです。この名前なら、陽イオンはナトリウムが主で、陰イオンは塩化物イオンが一番多く、次に炭酸水素イオンが続く、と読めます。

同じ泉質の銭湯が、同じあたりに並んでいた

表を作っていて気づいたのは、町名ごとに泉質がそろっているところがあることでした。

一番はっきりしていたのは、下荒田・唐湊・上荒田町・真砂町・紫原・南郡元町です。この6つの町にある9軒は、すべて塩化物泉でした。

炭酸水素塩泉の7軒は、上竜尾町・坂元町・吉野・若葉町・永吉・明和・田上にあります。単純温泉は、伊敷と伊敷町に3軒がまとまっているほか、西佐多町・川田町・有屋田町にも見られます。

ただし、きれいに分かれているわけではありません。田上には塩化物泉と炭酸水素塩泉の銭湯があり、谷山中央には塩化物泉と単純温泉の銭湯があります。すぐ近くでも泉質が違うことがある、ということです。なぜこう分かれるのかは、今回調べた資料には書かれておらず、分かりません。ここでは一覧から読み取れる並び方を紹介するにとどめます。

入浴料金の上限は、県が決めている

銭湯の料金は、それぞれの店が自由に決めているわけではありません。鹿児島県が上限額を決めています。

鹿児島県のページによれば、現在の上限額(統制額)は次のとおりで、令和5年12月25日から適用されています。

区分上限額
大人(12歳以上)460円
中人(6歳以上12歳未満)150円
小人(6歳未満)80円

金額には消費税が含まれています。鹿児島市のページによると、改定前の大人の上限は420円で、中人と小人は据え置きでした。

決まり方も公開されています。令和5年度の審議会の記録では、知事から「鹿児島県公衆浴場入浴料金審議会」に420円を460円にする案が諮問され、審議会が「諮問のとおり改定することが適当である」と答申しています。そのうえで県が告示(鹿児島県告示第919号)を出す、という流れです。

なお、この上限額は、県の条例で定める「特殊公衆浴場」の入浴料金には適用されないと、県のページに書かれています。

鹿児島県の源泉数は、全国2位

最後に、県全体の数字です。環境省が毎年公表している温泉利用状況(令和6年度、令和7年3月末現在)によると、鹿児島県は次のとおりでした。

源泉総数……2,735(全国2位。1位は大分県の5,094)

温泉を利用している公衆浴場の数……485(全国3位。1位は長野県の718、2位は静岡県の535)

順位は、同じ表に載っている47都道府県の数字を並べて出したものです。ここでの「公衆浴場」は銭湯に限らず、温泉を利用する公衆浴場全体の数です。

行く前に確認したいこと

営業時間や休日は銭湯ごとにかなり違います。組合の一覧を見ると、朝4時から開いている銭湯や、翌日の午前1時まで開いている銭湯もありました(2026年9月17日時点)。臨時休業のお知らせも組合のサイトに載るので、出かける前に組合の一覧で確認するのが確実です。

出典

この記事は個人が公開情報をもとにまとめたもので、鹿児島県・鹿児島市・環境省・鹿児島県公衆浴場業生活衛生同業組合とは関係のない非公式の内容です。銭湯の軒数や泉質は組合サイトの掲載内容を数えたもので、各施設の温泉分析書を確認したものではありません。営業時間・休日・料金は変わることがあります。お出かけの際は各銭湯や組合の最新情報をご確認ください。

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