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鹿児島県の「日本一」は、いまも1位なのか — 27項目を最新の統計で確かめた

公開: 2026年9月17日 / 書いた人: まえちん(かごいと運営者)

鹿児島県の公式サイトには、「日本一」や「全国1位」がたくさん紹介されています。ただ、ページを読んでいくと、添えられている数字の年がばらばらでした。平成17年の数字もあれば、令和6年の数字もあり、年が書かれていないものもあります。そこで、県が日本一としている27項目を、国の統計の最新版と公的機関の記録で一つずつ確かめてみました。今も1位のもの、入れ替わっていたもの、まだ決まっていないものに分けてまとめています。確認したのは2026年9月17日です。

結果のまとめ

分類項目数主な項目
最新の統計でも1位10豚、黒毛和種、ブロイラー、サツマイモ、ブリ類・カンパチ・ウナギの養殖、かつお節、タンカン、竹林
公的な記録で1位6離島の面積と人口、蒲生の大クス、菱刈鉱山、ウミガメ、出水のツル
まだ決まっていない1荒茶
最新の統計・記録では1位ではない4焼酎、縄文杉、奥十曽のエドヒガン、国頭小学校のガジュマル
確かめられなかった4グラジオラス、ソリダゴ、豊受神社のソテツ、十島村
対象外2日本一の大うなぎ、日本一大きなお茶の木

確かめ方

候補は、県の公式サイトの3つのページと、県の資料1つから集めました。子ども向けの「かごしまの日本一」「食産業」、県の紹介ページ「鹿児島がいちばん」、そして令和8年4月の県勢概要です。

生産量や頭数のように国の統計で順位が出るものは、県のページに書かれた数字ではなく、元になった国の統計の最新版を直接読んで、都道府県を並べ直しました。都道府県を比べる統計がないもの(ツルやウミガメ、巨樹など)は、公的機関が何と書いているかを確かめています。

統計によっては、調査対象が少ない県の数字が秘匿(非公表)になっています。その場合は、全国の合計から公表されている県の合計を引き、残りが鹿児島県の数字より小さいこと、つまり秘匿された県が1位になる余地がないことを計算で確認しました。

対象外にしたもの……「我が国初」「発祥の地」のような初めての記録(順位ではないため)、「日本で唯一」(1位とは意味が違うため)、「日本で一番宇宙に近い県といえます」のような言い回し、桜島大根の世界一(ギネスに登録された個体の記録で、県どうしの比較ではないため)は、27項目に含めていません。

最新の統計でも1位だったもの

項目鹿児島県2位時点
豚の飼養頭数111万5,000頭北海道 75万2,400頭2026年2月1日
黒毛和種の飼養頭数33万500頭宮崎 20万7,300頭2026年2月1日
ブロイラーの飼養羽数3,063万3,000羽宮崎 2,882万4,000羽2026年2月1日
サツマイモ(かんしょ)の収穫量21万9,000t茨城 19万5,500t2025年産
ブリ類の養殖収獲量3万8,800t(全国の32.5%)愛媛 1万7,800t2025年
カンパチの養殖収獲量1万3,900t(全国の63.8%)高知 1,700t2025年
ウナギの養殖収獲量7,342t(全国の41.8%)愛知 4,279t2025年
かつお節の生産量2万1,176t(全国の78.1%)静岡 5,762t2025年
タンカンの収穫量2,494t(全国の90.6%)沖縄 239t2023年産
竹林の面積2万172ha福岡 1万4,525ha2022年3月31日

畜産の3つは、農林水産省の畜産統計(2026年7月28日公表)で確かめました。県勢概要では豚とブロイラーだけ2024年の数字でしたが、これは、2025年に農林水産省が5年ごとに行う農林業センサス(農林業の生産や就業の構造を調べる大規模な調査)が実施され、その年は豚とブロイラーの調査が休止されていたためです。2026年2月1日の数字でも1位でした。なお肉用牛全体の飼養頭数では、北海道が1位で鹿児島県は2位です。1位なのは、そのうちの黒毛和種です。ブロイラーは、過去1年間の出荷羽数でも鹿児島県が1位(1億7,351万羽)でした。

サツマイモは、農林水産省の作物統計(2026年6月30日公表)で確かめました。県のページの「令和6年に21万8,300t」より新しい、2025年産の数字です。2025年産の調査は、主な産地の県を対象にしたものです。

ブリ類・カンパチ・ウナギの養殖は、農林水産省の漁業・養殖業生産統計の2025年の第1報(2026年5月29日公表)です。第1報は速報の性格の資料で、確報で数字が変わる可能性があります。カンパチは全国の6割以上が鹿児島県産でした。

かつお節は、農林水産省の水産加工統計(2025年、2026年8月7日公表)です。全国の生産量の約8割を鹿児島県が占めていて、県のページの「令和4年に72.3%」より割合が上がっていました。

タンカンは、農林水産省の特産果樹生産動態等調査の2023年産(2026年3月18日公開)で、これが最新です。統計に数字が載っているのは宮崎・鹿児島・沖縄の3県だけで、鹿児島県が全国の約9割を占めています。

竹林の面積は、林野庁の森林資源の現況(2022年3月31日現在)です。県のページには「およそ1万8,000ha」とありますが、この統計では2万172haでした。

公的な記録で1位とされているもの

ここからは、都道府県を並べて比べる国の統計がないため、公的機関が書いている内容を根拠にしたものです。

離島の面積と人口。鹿児島県が2023年6月に策定した「鹿児島県離島振興計画」(国土交通省のサイトに掲載)に、全国の離島と比べた表があります。離島の面積は2,474㎢(全国の32.5%、2015年10月1日時点)、離島の人口は14万9,620人(全国の26.1%、2020年国勢調査)で、どちらも全国1位です。離島の市町村数(22)も1位で、有人離島の数(28)は長崎・沖縄・愛媛に次ぐ4位でした。子ども向けのページでは離島の人口が「平成17年に約18万2,000人」となっていて、それより新しい数字です。

蒲生の大クス(姶良市)。環境省の巨樹・巨木林データベースに登録されている76,390件を幹周の大きい順に並べると、1位は蒲生の大クス(2,490cm、2016年確認)でした。同じ木の別の報告(2,422cm、2024年)が2位で、別の木で最も大きいのは静岡県熱海市の阿豆佐和気神社の大クス(2,390cm)です。県のページには「昭和63年度に環境庁の全国巨樹巨木林調査で立証」とあります。

菱刈鉱山(伊佐市)。内閣府の政府広報(2023年3月)に、「現在、唯一、商業規模で操業している金鉱山」と書かれています。同じ記事によると、40年で累計約260トンの金を産出し、2023年からは年間の産出量を6トンから4.4トンに引き下げました。子ども向けのページの「およそ200トン」「1年間に7.5トン」は、これより古い数字です。

ウミガメ。県のウミガメのページ(2026年2月13日更新)に、「日本に上陸する全ウミガメの半数以上と言われており,本県は,日本一のウミガメの上陸産卵地」と書かれています。同じページの資料によると、2025年(令和7年)に県内で確認された上陸は6,579回でした(確認できた回数で、上陸の総数ではないと注記されています)。また環境省は、屋久島の永田浜について「アカウミガメの上陸数においては日本全体の30~40%を占めて」いると説明しています。

出水のツル。出水市の年度別ツル渡来数によると、2025年度の渡来数は1万3,319羽でした。環境省は、ラムサール条約に登録した際の発表(2021年11月18日)で、「ナベヅルは全世界の総個体数の約9割に当たる8,000から10,000羽」が毎年飛来すると書いています。ただ、今回調べた範囲では、「日本一」という言葉そのものを使っている公的機関の資料は見つかりませんでした

まだ決まっていないもの:荒茶

荒茶(摘み取った茶葉を蒸して揉み、乾かしたもの)の生産量は、年間で見ると鹿児島県が1位です。農林水産省の作物統計では、2025年産の年間の荒茶生産量が、鹿児島県3万t、静岡県2万4,100tでした。

ところが、2026年産の一番茶では静岡県が上回りました。農林水産省が2026年8月18日に公表した一番茶の結果です。

一番茶の荒茶生産量静岡鹿児島
2025年産8,120t8,440t
2026年産(概数)1万700t9,610t

二番茶以降を含めた2026年産の年間の数字は、同じ資料で「令和9年2月に公表予定」とされています。年間で鹿児島県が1位のままかどうかは、その公表を待たないと分かりません。

最新の統計・記録では1位ではなかったもの

ここに挙げるのは、県のページの内容が間違っているという話ではありません。統計の年が新しくなって順位が入れ替わったものと、何を物差しにするかで1位が変わるものです。

焼酎の生産量。国税庁の2024年度の統計年報で、単式蒸留焼酎の製成数量は、1位が宮崎県(11万5,154kL)、2位が鹿児島県(10万3,645kL)でした。子ども向けのページには、年の記載がないまま焼酎の生産量が日本一と書かれています。なお国税庁の統計は原料別に分かれていないため、芋焼酎だけに限った順位は、公的な統計では確かめられません。

縄文杉。「鹿児島がいちばん」の見出しは「日本最大のスギ」ですが、本文は「現在、発見されている屋久杉の中では最も大きく」という書き方です。環境省の巨樹・巨木林データベースでスギを幹周の順に並べると、縄文杉(1,610cm)は2位で、1位は新潟県阿賀町の将軍杉(1,931cm)でした。樹齢は諸説あり、比べられる記録がありません。

奥十曽のエドヒガン(伊佐市)。子ども向けのページには「日本一大きいエドヒガンザクラ」「高さは28メートル」とあります。巨樹・巨木林データベースでは、エドヒガンの中で幹周(743cm)が12位、樹高(28m)が11位でした。

国頭小学校のガジュマル(和泊町)。「鹿児島がいちばん」には、枝張り22.5mで「枝張りは日本一」とあります。巨樹・巨木林データベースでガジュマルを枝張りの順に並べると、1位は沖縄県名護市のひんぷんガジュマル(東西34m)でした。国頭の木もデータベースに登録されていますが、枝張りの数値が入っていません。

巨樹・巨木林データベースは環境省のものですが、一般の人からの報告も含まれていて、確認した年も1988年から2026年まで記録ごとに違います。この記事の巨樹の順位は、2026年9月17日時点でデータベースに登録されている記録では、という意味です。

確かめられなかったもの

グラジオラスとソリダゴの作付面積。県のページには、2023年産の品目別作付面積で全国1位とあります。ただ、農林水産省の花きの作物統計(2023年産・2024年産の確報、2025年産の第1報)にも、花木等生産状況調査の資料にも、この2品目の数字が見つからず、元の統計を特定できませんでした。

豊受神社のソテツ(中種子町)。「鹿児島がいちばん」の書き方は、「雌ソテツでは日本一の大きさといわれています」です。巨樹・巨木林データベースには登録がなく、比べられませんでした。

十島村の「日本一長い村」。子ども向けのページには、口之島から宝島まで約130kmで「長さが日本一の村」とあります。村の長さを比べた公的な資料は見つかりませんでした。十島村の公式サイトは、村を「南北約160kmという『南北に長い村』」と紹介しています。

対象外にした2つ……「日本一の大うなぎ」(池田湖)は、県のページに順位の根拠となる記録が書かれていないため比べられませんでした。「日本一大きなお茶の木」(霧島市)は、国の天然記念物だった初代の木が1945年に枯れ、現在は2代目の木が保存されているため対象外にしました。

確かめてみて分かったこと

一番多かったのは、県のページの数字より新しい統計が出ていて、今も1位だったものでした。豚やサツマイモ、かつお節は、数字を新しくしても1位のままです。

一方で、焼酎のように統計の年が新しくなって順位が入れ替わっていたものや、荒茶のように途中の数字で入れ替わりが起きているものもありました。巨樹のように、何を物差しにするかで1位が変わるものもあります。

「日本一」を人に紹介するときは、いつの数字か、何の物差しかを添えると正確になります。この記事の数字にも、それぞれの時点を書いています。統計は毎年更新されるので、確認した日(2026年9月17日)より後に新しい数字が出ている場合は、そちらを確認してください。

出典

この記事は個人が公開情報をもとにまとめたもので、鹿児島県・各市町村・国の機関とは関係のない非公式の内容です。数字と順位は2026年9月17日時点で公表されていた統計・記録によります。統計は更新されるため、最新の情報は各出典でご確認ください。

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